部活中、思わず俺が釘付けになっちまうアイツ。
ちょこまかと頑張ってんなぁ、とか。危なっかしくて見てらんねぇ!(←いや、見てるんだけど)とか。
とかく、どうしてもアイツが気になる。そりゃ、俺の後輩だし、俺の彼女だし、気になんのは当たり前なんだけど・・・なんか、俺は保護者的視点になってる気がする。
最初はそれで悩んだりもしたもんだ。俺はアイツをどう思ってるんだ、って・・・。まるで、兄妹のように接してたし、俺にとっては新しい妹ができたって感じだったんだ。
だけど、他の男と喋ってると気になるとか、そういう感情が出てきたときに、「これは兄って言うより、父親の気分だな」とか思った。・・・でも、それ以外にも、兄や父親という目線じゃ説明のつかない気持ちに襲われたときに、ようやく好きなんだって気付けた。(鈍いとかいう、ツッコミは無しだぜ?)
それで、自分の想いを説明したら、幸せなことに、アイツも俺のことが好きだと言ってくれた。こうして、俺とは晴れて恋人という関係になったわけだ。
それでも、俺は今もから目が離せないでいる。・・・まぁ、これも好きだからこその心配なんだろうけどさ。やっぱり、俺ってちょっと兄目線って言うか・・・。でも、それはが可愛すぎるのも原因だと思う!
「岳人〜・・・。何ぼなんでも見すぎ、や。」
「ぅわ、侑士!・・・俺、そんなに見てたか?」
「見てた。何やったら、口元も緩みまくってた。」
「マジかよ!?俺としては、普通に見てたつもりだったのによ〜・・・!!」
そう言いながら、俺は緩んでいたらしい口元を戻すために、頬を数回叩いた。
「どうだ、侑士。もう戻ったか?」
「・・・そうやな。それでえぇと思うで。」
「うっし!んじゃ、練習再開すっか!」
そう言ったものの、結局のことが気になって・・・。気付けば、を目で追っていた。
・・・言っとくけど、毎日こんな感じ、ってわけじゃねぇんだぜ?今日、こんなにも気になんのには、ちゃんと理由がある。それは・・・・・・・・・部活が終わってからのお楽しみだ。・・・と自分に言い聞かせちゃいるが、どうもが気になっちまうんだよなぁ。
うん、我慢だ、我慢!あと少しで部活は終わるんだからよ!
そうやって、ようやく迎えた帰宅時間。だけど、迎えたら迎えたで、軽く緊張感も出て来た。・・・・・・情けねぇな、俺。しっかりしねぇと!
自分を鼓舞すると、いつものようにの元へ向かった。
「お〜い、!マネージャーの仕事は終わったかぁ?」
「はい、終わりました!」
「んじゃ、帰っか。」
「はい。」
ニカッと笑って言えば、もニッコリと返してくれた。・・・・・・この笑顔を見れば、何とかなるような気がしてくっから、不思議だよな。・・・ってわけで、俺は早速話を本題に移した。
「って、今週の休み、何か予定あっか?」
「いえ。特には無いですけど・・・?」
「んじゃさ、遊園地行かね?遊園地!そろそろ、バンジーがしたくなってきてよ〜。だから、も一緒に来ねぇ?」
「バンジージャンプ・・・ですか?」
「おぉ!あ、でも、は無理にバンジーする必要ねぇからな。・・・まぁ、俺がやってる間、待ってもらうことになるけど・・・・・・。」
「いいですよ。」
「マジで?!・・・ってことは、一緒に行ってくれんのか?」
「はい、喜んで。」
「ありがとよ!」
「いえいえ。こちらこそ、お誘いありがとうございます。」
相変わらずの可愛い笑顔で答えられ、俺も一安心した。・・・付き合っているとは言っても、絶対に誘いを断られないという保証は何処にも無い。もしかしたら、友達と遊ぶつもりだったかもしれねぇし。ただ、どんな理由で断られたとしても、やっぱり軽く(・・・本当は軽くないかも?)ショックを受ける。だから、本当にがOKしてくれて良かった。
「それじゃ、また集合時間とかはメールすっから!」
「はい。楽しみにしておきます。」
「おう!」
思わず、俺の口元が緩む。・・・・・・・・・今回ばかりは自覚あり、だ。
その後、他愛もない話を続け、家に帰った。家に着いてから、当日の予定を考え、にメールする。その返信が来たときも顔がニヤけてしまって、自分の部屋で良かったと心底思った。
それから前日までは、あえて、その話を逸らしていた。・・・何つーか・・・、楽しみにしすぎて、口に出したくなかったんだよな。たぶん、その話をすれば、我慢できなくなるっつーか・・・。でも、心の中では「早く、当日になれ・・・!!」って思いまくってた。
とは言え、さすがに前日は我慢できなくなって、俺もの家の前で、一言だけ言って別れた。
「明日、楽しみにしてるから。」
「私もです!」
「それじゃ、また明日な!」
「はい、また明日。」
やべぇ・・・。明日だよ、明日。ついに、明日なんだよな・・・!!
そうやって、ずっとテンションが上がりっ放しだった俺。これじゃ寝れねぇよ!と思いもしたが、明日のために寝なくちゃならない。寝られなくて、明日元気の無いまま遊びに行くのは勿体なさ過ぎる。あるいは、寝坊しちまって時間に遅れるなんてこともしたくない。
俺は早めに布団に入り、ちゃんと目覚ましもセットした。・・・よし、寝るぞ!
“ピ ピ ピ ピ ピ ・・・”
目覚ましの音を止め、俺は勢いよく飛び起きた。・・・うん、ちゃんと元気だ!
朝ごはんもしっかりと食べ、今日の準備もばっちりする。・・・今のところ、問題なしだ。
俺は約束の時間に間に合うよう家を出、の家へと向かった。
“ピンポーン・・・”
の家のインターホンを鳴らしてから少し待つと、私服姿のが急いで出てきた。
「すみません、お待たせしてしまって・・・!」
「そんなに慌てなくていいって。」
「迎えに来ていただいてるのに、そういうわけにはいきません。」
「だから、いいっての。・・・とにかく、行くぞ。」
「はい!今日はお願いします。」
「ん、よろしくな。」
そう言った後、は俺の横につき、一緒に歩き出した。
・・・それなのに。いや、むしろ、だからこそ。俺の視線は前を向かず、隣のの方ばかりに向いていた。どうやら、それに気付いたらしく、がこちらを向き、微かに首を傾げる。
「向日先輩?」
うん、マジでそういうの止めて。可愛すぎるから。・・・いや、やっぱ可愛いから許す。
そんな矛盾したことを考えながらも、俺はから目を離さずにいた。
別に初めて2人で遊んだ、ってわけじゃない。それでも、普段見ているのは制服やジャージ姿で。・・・とどのつまり。
「その・・・。私服って見慣れねぇから。」
「たしかに、そうですね。私も向日先輩の私服姿って、とても違和感があります。」
「え、マジ?なんか変??」
「いえいえ!そういうことではなくて、ですね。ただ見慣れていないだけで・・・。」
語弊があったと、慌てて弁解をするだったが、今度は自身が不安そうな顔をした。
「その、私は変なんでしょうか・・・?」
「んなわけねぇじゃん!すっげぇ可愛いよ!」
「ほ、本当ですか・・・?」
「うん。可愛いし、ちゃんとに似合ってるし。」
「ありがとうございます・・・。その・・・。向日先輩も、いつも以上にカッコイイです・・・。」
「へへ、ありがと。」
俺が言ったから、そのお返しに、そう言ってくれただけかもしれない。社交辞令ってやつだな。でも、が照れくさそうに言うもんだから、こっちも素直に受け取っちまった。・・・まぁ、いいか。どっちにしろ、やっぱり嬉しいことだから。
そんな感じで、俺はたぶん幸せオーラを出しまくりながら、目的地に向かった。・・・当然、目的地でも幸せオーラは出ちまうだろうけど、それは仕方ない!
「・・・よし、着いた!・・・まずは何から乗る??」
「何でもいいですよ。」
「そうか?んじゃ・・・・・・まずは、アレにしとくか!」
「はい!」
入園早々目に入ったコースターを俺は指さした。あれぐらいなら、そんなにスピードとかも激しくなさそうだし、も怖くないだろう。それに、序盤から飛ばしすぎるのも、よくないしな。
そうやって、に無理させないよう、でも楽しそうな物を選びながら、いくつか回っていると、あっという間にお昼の時間になった。
園内は、それなりに人が多くて、注文も少し待たされたけど。と過ごせるなら、全然苦じゃねぇし。・・・そりゃ、と遊ぶ時間を奪いやがって!とかも思うけど、こうやって何をするでもなく、ただと居る時間ってのも、俺は好きだから。・・・いや、まぁ、要は相手だったら、何でもいいってことなんだろうけど。
だから、昼飯も楽しく喋りながら、食い終わった。
「ふー。食った、食った。・・・な、次はどうする?」
「そうですね・・・。ちなみに、向日先輩、バンジージャンプはいつ頃行こうと考えてるんですか?」
「・・・あ。」
食後にちょっとゆっくりしながら、次のことも考えておこうと思った俺だったけど。・・・うわ、マジ忘れてた。
「特に決めてませんでした?」
「うん・・・・・・つーか、忘れてた。」
「え?!でも、今日はバンジージャンプをしに行きたいって・・・。」
「初めはそうだったんだけど・・・・・・いや、初めからそうじゃなかったのかも。」
「・・・どういうことですか??」
本当に不思議そうにしているを見て、やっぱりは可愛いな、なんてことを俺は思っていた。
うん、つまりは。たしかに、バンジージャンプもしたかったけど、それ以上に、と遊びに行きたいって思ってたから。だから、今日もと一緒に楽しく過ごせて、充分満足していた。
「1人でバンジーするより、と一緒に回る方が楽しいじゃん。ってこと。」
「・・・じゃあ、私もバンジージャンプに挑戦した方がいいってことですか?」
なんで、そうなんだよ・・・。相変わらず、の思考回路は面白い構造になってやがる。そんなんだから、俺はお前が放っておけねぇんだよ。
と、微妙に苦笑しつつ、俺は返事をした。
「違う違う。俺はバンジーも面白くて好きだけど、それ以上にのことが大好きで、と居る時間の方が絶対楽しいってこと。・・・わかったか?」
「・・・はい。」
「うむ。よくできました。」
「ありがとうございます。」
照れながら返事をしたに、俺がそうやって偉そうに言えば、またが照れた様子でお礼を言った。
・・・あぁ、マジで可愛いな、お前は!!なんて思いながらも、平静を装って俺は話を続けた。
「んじゃ、とりあえず、この後はあの辺のやつにでも乗ってみようぜ。」
「はい!」
「他、の気になんのとかあった?」
「そうですね――。」
その後、本当にバンジージャンプをすることなく、他のアトラクションに乗ったり、ショーを見たりして、時間を過ごした。でも、やっぱり、すっげぇ楽しかった。
俺はを家の前まで送ると、その率直な感想を述べた。
「今日はすげぇ楽しかった。ありがとな。」
「いえ!こちらこそ楽しかったので、ありがとうございます。それに、ここまで送っていただいて・・・。」
「当たり前だろ?自分の彼女を1人で帰らすわけねぇじゃん。・・・ま、とにかく。今日は遊んで、体も疲れてるだろうから、早めに寝るんだぞ?」
「はい、わかりました。」
「うん。いい返事だ。・・・じゃあ、名残惜しいけど、もう帰るわ。」
「そうですね・・・。向日先輩も気をつけて帰ってくださいね?」
「おぅ、ありがと!じゃ、またな。」
「はい、また部活で!」
そう言って手を振ると、も思い切り手を振り返してくれた。しかも、俺の姿が見えなくなるまで見ていてくれてるらしく、俺が途中で後ろを向くと、また手を振ってくれた。
・・・さっき、俺は早く休めって言ったのに・・・・・・と思いつつ、やっぱり嬉しいから、俺もニヤけた顔で手を振った。
そして、家に着いてしばらくすると、から、ちゃんと無事家に着いたかという内容と、今日のお礼が書かれたメールが来た。
・・・本当、は俺を上機嫌にさせてくれるな。そんな浮かれた気持ちで、俺も返信をした。
『家にはさっき着いた。心配してくれてありがとな!
今日楽しかったのは俺も同じだし、またどっか行こうぜ!
んじゃ、早いけど、今日はおやすみ!
追伸。
・・・むしろ、本題。
俺はが大好きだ!!
それだけ“笑
じゃあなー☆』
・・・・・・・・・結局、何が書きたいんでしょうね・・・(知るか)。前回(「Valentine 後編」)の話といい、最近はサクサクと進み、どこをメインに書きたかったのか(=どこを萌えるポイントにしたいのか)がわからないものになってしまいます・・・。これは、ある意味スランプ?!(滝汗)
前回も似たようなことを書きましたけど、たぶん書きたいことがありすぎて、ゴチャゴチャしちゃうんでしょうね・・・。
ちなみに、今回は「ときメモGS 2nd Season」で真咲先輩を攻略後、「年上を書きたい!!」と思ったのがきっかけです。なので、向日さんの台詞は、真咲先輩を基にしている部分がいくつかあります。で、特に書きたかったのは、「よくできました」とか「いい返事だ」とか、そういう台詞なんですよね。
それを書きたいがために、こんなにダラダラと・・・(汗)。どうも、すみませんでした・・・orzそして、読んでくださってありがとうございました!
('09/06/04)